ヤシキケンジ サムライブルー 酔いどれ観戦記

 この連載を、トイレで用を足すときにのみスマホで読むという便所の落書きのような読み方をしている知人から言われた。
「サッカーのこと書いてるのは分かるけど、なんで『酔いどれ』なの?」と。
 正直に告白すると私は平日の昼間から酒を飲んでいるような生活を送っていたりして、昼下がりの近所のコンビニに酒を買いに行くような、本当にダメな日常を送っているわけなのです。その行きつけのコンビニの店員というのが、昼間はパートの主婦たちが大半を占めておるのですが、イラク戦の当日。昼間に酒と煙草を買いに行くと、パートの主婦に混じって、色黒金髪メッシュのギャルが働いておったわけです。
 渋谷109の前でウンコ座りをしてパンチラしてても「気にしてねぇーし」とか言いそうなそんな感じのギャルがキビキビと商品を陳列しておったわけです。
 浮いているなと思って見ていたら、意外にもパートの主婦たちと和やかに会話をしながら連携を保って仕事をしており、レジに少しでも客が並ぼうものなら「こちらのレジどーぞ」と素早いカバーリングを見せていたりするギャルなわけです。
「ギャル=だるそうにしてるのが基本」という私の先入観をブチ壊してくれるそんな光景を見て和み、家に帰り昼間から豆腐をつまみに、今日も暑いなビールが美味い!! とのんべんだらりと過ごしている酔いどれでありまして、そんなどーしようもない奴のサッカー観戦記ということでひとつご理解いただきたいと思うのです。


 そして、イラク戦なのだが、試合前のテレ朝の過剰な煽りにはもう騙されないし長いぞと思いつつ、驚かされたのがジーコの “奇襲"。
 スタメンを10人入れ替え、本田・遠藤・長谷部に激しいマンマークをつけ、球の出所を塞ごうという、過去にそんな奇襲をしてきたチームはいなかっただけに、新鮮な驚きがあった。
 ジーコの奇襲が前半序盤の日本の動きを封じ込めていたのは紛れもない事実。イラクのスタメンが大幅に変わったことにより面食らった日本はイラクにペースを握られいくつか危ない局面を作られていた。
 しかし日本の方が一枚上手であったのも事実で、時間の経過と共にその奇襲にもきっちり対応して勝ちを収めたザックJAPAN。
 これは中々効果があるぞと、この先の最終予選で他の国も使ってくるかも知れない。

 これで最終予選も半分を消化した。4試合で3勝1分の勝ち点10。
 グループBの現在2位ヨルダンとの勝ち点差は6もある。
 過去の例から見ても、勝ち点13〜15でW杯出場当確圏内だと考えると、楽勝だと思われる。これからのアウェーで心配されている“中東の笛"もハンデだと思えば丁度いい。それ位、今の日本はアジアの中で強いはずである。
 もう一方のAグループは混戦状態。首位の韓国は勝ち点7であるが、その下には勝ち点4が3カ国も並んでおり、1試合の結果次第で、いきなり2位以下のW杯出場圏外に落ちる可能性もあるわけで1試合にかける重みが違う。

 ザッケローニは試合後、これからのアウェーの戦いが多くある最終予選後半でも、新しい戦力を試すより早くW杯出場を決めておきたいと言っていた。
 チームの完成度を日増しに高める日本代表ではあるが、中東のアウェーの地ではどんな奇襲・秘策が待ち構えているか分からない。というのも、これからの後半戦の楽しみな部分である。
 ハッキリ言って、これからの中東アウェーで奇襲も秘策もないのだとしたら、警戒するのは中東の笛くらいなもので、順当にいけば勝って当然、引き分けでも妥当であり、早ければ来年3月にはW杯出場が決まってしまうという、観ている側にとっていささか物足りなさを感じてしまいそうなのも事実。
 ジーコJAPANの時のように、W杯出場を世界最速で決めたところで、本戦で惨敗などというのは、もう観たくないのである。
 もちろんW杯出場を決めて欲しいのは大前提だが、綱渡り状態のハラハラした状況を望んでいるのは、テレビや我々視聴者である。
 そういう意味で、今回のイラク戦で香川選手が腰痛で試合を欠場したというのは、なかなかスリリングな展開であった。
 そう、これから先のアウェー戦、日本の要である本田選手が欠場したり、なにか予想外のアクシデントが起きてしまうことを心のどこかで待ち構えていたりもする。でなくちゃ、面白味に欠けてしまう。
 例えていうならば、漫画 『ONE PIECE』でルフィが大した敵とも巡り合わず、すんなりと海賊王になってしまうなんていう筋書きは誰も面白くないのである。


 そして今回の放送は久しぶりのテレ朝ということで、松木&セルジオの名コンビも堪能できた。松木の語録を拾おうとメモに書き留めていたが、
「ウォイ!!」「ウォェェ!!!」「オオッ!! オイッ!!」「そうだ長谷部! そこだ!!」「グフフフ!!」と、もう途中からメモする必要もない位の言葉にならない言葉を発し続けていた。メモしているのがバカらしくなった。彼らしいその解説ともいえぬ「オヤジの野次」は本田並みの安定感でこれが松木の安定感なのだと安堵の気持ちさえ覚えさせてくれた。セルジオはまだ本調子ではない様子だが、これからのアウェーでは、調子を上げてくれると密かに期待している。

 次の最終予選の前には、欧州遠征としてブラジル・フランス戦が待ち構えている。アジアを脱して、世界基準で日本がどの立ち位置にいるか、それを知ることが出来る楽しみが来月に待っている。

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ヤシキケンジ

ライター。1979年生まれ。構成・アニメ・ドラマ・雑誌・ラジオ等で時々、仕事。10代の頃はジャニーズjr.の中に人知れず紛れ込んでおりました。今はポンコツ。

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