この欧州遠征は憤りの酒を垂らしてばかりで悪酔いしそうである。
欧州遠征2連敗を受けて久しぶりに「日本代表をマゾヒスティックに応援する」気持ちまで湧き起こってきた次第。
勝手な予想ながら、今回のセルビア・ベラルーシ戦でまさか2連敗、しかも1点も奪えないまま終わるとはまったく予想外だった。1勝1敗で終えて、好い所もあったけどまだ守備がね……なんていつもの感想に落ち着くと思っていたのだが、大きく外れてしまった。
勝ち試合であれ、負け試合でも試合後の選手や監督のコメントを楽しみにしているのだが、相変わらずの前向きさである。ちびっ子が小突かれて涙を目いっぱいにためながら「泣いてないもん」と必死で強がってるようにしか見えなくなってきた。だったらもう一発を喰らわして泣かせてやろうか、というサディスティックな気持ちにさえなってしまう。
W杯予選で敗退した2カ国になす術がなく、来月にはオランダとベルギーとの対戦が控えているのである。FIFAランキングによると、セルビアが日本より一つ下で、ベラルーシは80位だというが、まったくあてにならないランキングであることが改めてよく分かった。これからは、相手国がどこであれFIFAランキングが何位だとか解説に折り込むのはもう止めてもいいと思う。
あてにならないと書いておいてなんだが、最近行なわれた欧州予選でオランダは日本より上のランキング30位のハンガリー相手に8-1だったそうである。日本戦は一体どうなるのかと考えただけでもゾクゾクしてしまう。
以前はハーフナーを叩く声も多かったが、最近は「かわいそう」という同情論まで出ている始末。ハーフナーをはじめ、乾や他の欧州組の試合に出してもらえない面々はどんな思いでベンチを温めているんだろうか。すごく興味がある。
試合後、本田は「勝てなかったことが収穫」という意味深かつ面妖な発言をしていた。自分の中では筋道が通ってるのかも知れないが、聞かされてるこちらは惑わされてしまうばかりである。聞けばW杯用になにか策があるそうだが、そんなものを披露する前に、来月ボロボロにされてしまうぞ。
とにかく最近の負け試合後のポジティブ発言とか、監督の妄言とも呼べる「内容はポジティブだった」などという汚職政治家の苦しい答弁みたいなものばかり耳についた10月の強化遠征。
この停滞感・閉塞感を打ち破るには、スカッと思い切りよく強豪国に叩きのめされて欲しいという気持ちで来月欧州2連戦を観たいと思っている。
その後、12月頭に行なわれるW杯抽選。どうせどの組に入っても日本にとっては「死の組」になること間違いないのだから、それもまたマゾヒスティックな楽しみである。
ライター。1979年生まれ。構成・アニメ・ドラマ・雑誌・ラジオ等で時々、仕事。10代の頃はジャニーズjr.の中に人知れず紛れ込んでおりました。今はポンコツ。
SAMURAI BLUE
サッカー日本代表|日本サッカー協会
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元・名古屋グランパス/川崎フロンターレ所属、日本サッカー協会特任理事、スポーツジャーナリスト中西哲生の人気連載