闘うシーンに賛否両論
この項、ディープなお宝話に──

夕凪町のモデルは?
「Splash☆Star」満と薫の設定の真相は?

もったいないので袋とじにしました
加藤 ここからはシリーズを通して、内容についてお聞きしたかった事をいくつか質問させていただいていいですか?

鷲尾 はい、どうぞ。

加藤 「ふたりはプリキュアSplash☆Star」で舞台やプリキュアや敵役が『花鳥風月』や『木火土金水』と言った自然をイメージしているのは前作(「ふたりはプリキュアMaxHeart」)が都会だったという、対比ですか?

鷲尾 対比、と言うよりも作品イメージですね。監督も西尾大介さんから小村敏明さんに変わりましたし。ふたりというコンセプトは残したかったということがあって、それは残したままで、もっと自然のイメージをモチーフにしたらどうなるかなって言う話をして、ああいう環境とテーマになったんですよね。

加藤 街の方のイメージと言うのはやはり?

鷲尾 あれ(夕凪町)は湘南と鎌倉をイメージしたんです。海沿いの町で近くにちょっとした丘陵があって、電車で一時間くらい行くときっと都会があるんだろうなと。スプラッシュスターの作品世界全体で言うと、モチーフは北欧神話です。北欧神話にはすべての命の源の「世界樹」があるんです。あの山の上に立ってる「大空の樹」はそれをイメージしたものです。あそこからいろんなものがいろんな世界に広がってるんだよっていう感じです。もちろん北欧神話ということは表には出さないし、まあいわゆる裏設定ですね。

加藤 アクションシーンの表現も前作とは変わりましたよね。

鷲尾 そうですね。アクションの仕方も変わったんですが、画面全体の印象も変えました。「MaxHeart」までは敵役が出てくると画面全体が暗紫色に包まれて暗くなったんですが、「Splash☆Star」の時はそれをやめてみました。

加藤 普通の青空の下でやっていましたね、だから非常に明るい印象がありますね。

鷲尾 あの生活環境を生かしたらこういうことになるねって監督と話して、明るい感じを強調することにしました。

加藤 背景も凄い綺麗ですもんね。夕陽の演出なんかも凄く好きです。

鷲尾 そうでしたね、とても綺麗な背景のイメージがありますね。

加藤 話は少し変わりますが、今度は映画のことをお聞かせください。「ふたりはプリキュアMaxHeart2〜雪空のともだち?」でキュアブラックとキュアホワイトの闘うシーンは賛否両論があったと聞きますが。

鷲尾 あれは教訓として残っていますね。男の子ものでよくある設定をやってみたいと思ったんですが、小さい女の子は友達同士が喧嘩することをとても嫌がるんだってことがわかりまして。

加藤 映画館で子どもが泣いてましたね(笑)。

鷲尾 子どもにとっては良い印象は残らないんだなって言うことを学びました。それは役者さんにとってもそうだろうと思います。今まで2年近くふたりでずっと手を取り合っていたのに、あれはしんどかったろうと思いまして。それ以降はできるだけそういうことはないように考えていますね。

加藤 「Splash☆Star」の満と薫の時はどう思ってらしたんですか。

鷲尾 満と薫の初登場のシーンは、ムープとフープという小さい妖精が木の下敷きになりそうなところを無造作にかばうシーンから始まっています。かばったことを別に自慢するでもなく、そんな事を全く気にも止めてない風を装っているんだけど、ムープとフープは彼女たちが助けてくれた、と咲と舞に伝えているんですね。最初から彼女たちは悪い意識だけを持っている者たちではないんだということを見せて、そこから物語をスタートさせています。

加藤 それは伏せずにやってたんですね。

鷲尾 はい、最初から見せていました。満と薫は最初は敵側の人間として出てくるけど絶対に咲や舞と通じ合う感性を持っているから、そういうイメージを持ってシーンを作ってくれ、ということを言い続けました。22、23話でプリキュアとのアクションシーンがあったんですが、そこでも決して直接当てないでくれと。

加藤 確かに、言われてみれば全部ガードしてますね。

鷲尾 これは5年間全編通してなんですけど、ダメージを受ける打撃は必ずディフェンスしてくれって言ってました。直接顔や腹を殴らない。女の子の顔や頭を殴る事は絶対にさせませんでした。

加藤 アクションは苦労してそうですね。個人的には「MaxHeart」までの激しいアクションが好きだったんですが「Splash☆Star」からは抑え気味になって少し残念でした。

鷲尾 そうですね。先ほど話したアクションの変化です。妖精の輝きのようなものがプリキュアたちをガードしている、だからヒットしたときもキラキラしたものが飛び散るようにしていました。これは小村監督のアイデアです。マックスハートもガードをした上で吹っ飛ばされたところの壁が大袈裟に壊れるとか、そういうことで痛さを表現してくれと言ってましたね。

加藤 非常に気を使ってるんですね。ところでブルームとイーグレットは途中からブライトとウィンディにフォームチェンジするじゃないですか、計4種類あるのは満と薫もプリキュアにするつもりだったのですか?

鷲尾 あれは当初から変身バリエーションを咲と舞に持たせたいと言うのがあって。満と薫については変身させるつもりはなかったんです。こっち側に来るっていうのは最初から決めていたけれども、彼女たちはプリキュアじゃないんです。

加藤 満と薫はプリキュアではない?

鷲尾 はい。プリキュアは観ている子どもたちにとって身近な存在でなければならないと思っています。日常生活を送っている女の子が不思議なきっかけで変身する。だからいつあなたの身に起こってもおかしくないですよ、というのがプリキュアなんです。だから満と薫はプリキュアではないけどもプリキュアと協力するスタンスを持ってるっていうことです。ただ当初から持ってる「花鳥風月」というコンセプトを彼女たちにも分け与えたかったというのはありますね。

加藤 「花が咲き、鳥は舞う、風は薫り、月は満ちる」ってありましたね。

鷲尾 満と薫のフォームチェンジは、プリキュア達に協力するって決断したときに月のイメージとか風のイメージを彼女たちに持たせました。プリキュアじゃないけど仲間なんだ、と意識させたシーンですね。

加藤 プリキュアではないけど、プリキュアに協力する立場っていうのが満と薫の正しい考え方なんですね。

鷲尾 はい、そうです。
THE B-TEAM 実況野郎文芸部