病室トーク(布団のなかから)

 湯婆婆みたいな近所の女医に、恥ずかしい穴を鉄棒でこねくりまわされ、粘膜の奥の奥まで覗き込まれたあげく「風邪やな」ってうそん。おれはまた、若くして急逝した天才がかかるような原因不明の病かなにかかと思ってた。逆に考えてそうかな、と思うてたけど、ちゃうねんね。あっそうか。そういえば昨日もおれ、ポンポン出して寝てたから。
 いや、それにしても、ここのところずっと体調がすぐれなくて、ションベン黄色すぎ病なんとちゃうかな思うてましてね。昨日も熱出して寝込んでて、今もまだ38度近くある。さっき洗面所で鏡見たらあんまり自分の顔色が悪いから笑ろてもうた。なんやろ、久しぶりにオシャレじゃない無精ひげの男を見た、というかんじやね。無精ひげの悪い一面が全部おれに出た。球根みたいになっとる。もうちょっとで死人やん、ちゅうぐらい顔色してたからね。
 まあ、そんなこんなで、今週も作者の体調が最悪のまま始まりました『憂鬱なアンチ』。このような、どう頑張ってもテンションの上がりようのない状態で、低空飛行のフライトを続けていこうかなあと思うとりますので、みなさん最後までお付き合いください。
 ただまあスパッと切り上げますよ。そんなもん。今回はもう言いたいことだけいうて、すぐに帰りますから。ハゲー言うて帰りますから。戸バターン! 閉めて帰りますから。包丁セット一式忘れて帰りますから。後でペリカン便で送ってください。やっぱり今すぐ送ってください。正直今すぐ横になりたい。ちょっとバファリンばっかり飲んでるから頭がくらくらしてます。ごめんね、なんか今日ヘンなことばっかりいうて。でも大丈夫ですよLSDとかじゃないんで、半分はやさしさ的ものなので、本当に心配しないでください。でも、せっかくやから、このラリってるチャンスに普段言われへんような、いろんなこと言うたろかな。見城批判的なことをね、どんどんぶちあげていこうかなと。巨乳大好き、とか、一日に五人づつ殺してるとかね、あることないこと。まあ三人は本当に殺してますけどね。
 ただあんまり調子に乗って喋ってると、干される、ならまだしも、消される? 洒落みたいにいうてますけど、必ずしもこれ、ないとはいい切れないところが怖い。『オンリーイエスタディ』っていうのは、そういう意味ですから。だから、もしも来週この連載が落ちてたら、読者諸君、いちど土手まで走って行ってみてください。ちょっと顔色の悪いタマちゃんのような、簀巻(すまき)になったボクと、もしかしたら出会えるかもしれない。
 しかし体が衰弱しているときというのは、えらいもんで、うんこも弱ってるかんじのうんこが出ますな。びっくりするよ、小公女みたいなうんこが出るからね。まあ実際小公女がどんなうんこしてるのか知りませんけど、──意外と切り株みたいなうんこしてたりしてね。でもそれはぜんぜんありえることで、これは私が28年間生きてきて唯一悟ったことだけれども、容姿とうんこはちがう。今までずーっと見城社長のうんこやと思っていたものが石田ゆり子のうんこであったり、そのまったく逆で、石田ゆり子のうんこやと思っていたものが、ゴリラのうんこであったりすることもあるわけで、ぼくはそれを何度も見てきたし、そういう絶望の繰り返しが、ボクたちを大人するンだと思うのね。ちょっと回り道をしたけど、実はきょうは最初からこの話がしたくて……。ほんで、さっき嫁が背中に貼ったカイロがものすごい熱を帯びてきて、もう書いてられへん。



< 村田 武彦(むらた たけひこ)プロフィール >
1974年兵庫県生まれ。28歳。広告事務所勤務。99年、文芸誌『ぶんりき』に発表したエッセイ『メッセージ・ソング』で第2回ぶんりき大賞を受賞。同年10月、彩図社より文庫本『帰ってきた内弁慶』を刊行。
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