東野さんの新刊が出ると買わずにはいられないこの心理。東野さんの本を読むといつも心のひだがくすぐられます。それをなんと表現したらいいものやら……。こういう言い方をするとあまりいい感じではないかもしれませんが、なんだかちょっと暗くて、物悲しい気分で、切なさで心がいっぱいになってしまう……。凄く複雑で微妙なラインをたどる感じ。これが大好きです。東野さん特有の味わいだと思うので、私はやっぱり新刊が出ているのを知ると、読みたくなってしまうのです。
 今回は、そんな東野さんの新刊『夜明けの街で』をご紹介します。う〜ん、これがまたハラハラドキドキ! 東野さんの本ってハラハラドキドキがスローテンポなのにひとつひとつの圧力が大きい感じがします。それに読者はやられてしまうのかも。
 今回は主人公の不倫の恋が物語を盛り上げました。ここでちょっと言ってしまうと、主人公の不倫相手の女性は、ある殺人事件の容疑者、しかも時効が目前に迫っているという時期に二人は出会います。なので不倫の恋の行方自体と時効の結末、その二つの設定がドラマをより一層ハラハラドキドキと揺り動かして、本当のところはどうなの?! と悶々とする読書特有の「お楽しみストレス」がラストで一気に明かされます。東野さんの本はこのお楽しみストレスが病みつきになる感じがありますよね。今回の『夜明けの街で』もそうでした。男性が主人公なので今回は男性にお勧めの本かもしれません。
 是非読んでみて下さいね!

黒谷友香(くろたにともか)
黒谷友香(くろたにともか)1975年、大阪府生まれ。95年、映画「BOXER JOE」のヒロイン役で女優デビュー。その後、CM・ドラマ・映画・ 雑誌など幅広く活躍。主な出演作に映画では03年「魔界 転生」、04年「クイール」など。11月11日公開の映画「TANNKA短歌」で初主演。

夜明けの街で
『夜明けの街で』
東野圭吾著
角川書店刊
定価:本体1600円+税