シャレにならないほどいろいろ仕事がカッ詰まってきているものの、家にいるとなにかと気が散るので『ホンのお楽しみ』の再校ゲラを抱えて近所のファミレスに向かう。
文章を書くときは家で無音状態じゃないと集中できないのだけれど、例えばゲラを直すとか、下読みするとか、書評用の本を読むのは、場所を変えた方が集中できることもあるのだ(私は)。なので公園とかベランダも好きなんだけど、この時期なにせもう「花粉様」が猛威をふるいまくっているので、屋外は無理。水分大王な上に微妙に気弱なのでおかわり自由じゃない喫茶店やコーヒーショップでは資金的に苦しい。となると、ファミレスぐらいしか思いつかないのだ。ありがとうフリードリンク! ありがとう適度に放任主義な店員さんズ!
てなわけで、心おきなくコーヒー&紅茶を飲みながら、カウンター席で地道に働いていた午後4時(既に入店から1時間半経過)。1つ離れた席に定年退職して早幾年、というオジサマが何やらあわてた様子で着席された。
「いらっしゃいませ〜」とウェイトレス嬢が水とおしぼりを差し出す間さえも、もどかしそうに、オジサマは「藤田まことが死んだんだって!」と仰った。
私はビジーモードにつき、全然知らなかったので、「えー、そうなんだ。あらまぁ」と心のなかで、思っていたのだけれど、オジサマはそれだけでは気持が治まらない様子で、ガンガン話し続けた。「知ってるよね、藤田まこと。必殺仕事任の主水だよモンド! てなもんや三度傘だよ。急だよね。具合悪いなんて知らなかった。俺さー、同じ年なんだよ、藤田まこと。驚いたなぁ。あぁなんかね、びっくりしてさ……」云々と。
しかし、ウェイトレス嬢は「……そうですか。」と軽く受け流し「ご注文がお決まりになりましたら、こちらのボタンで及び下さい」とニッコリ笑って去って行ったのでありました。ウェイトレス嬢、推定20歳。きっと知らないだろう、藤田まこと。熱弁モードな客を前にして「知りません」とは言えないだろうし、感情移入しすぎなコメントもファミレス定員としてはそれまた問題だろう。だから彼女の態度が別に悪いとも思わなかったのだけれど。
その後「……コーヒーを」。とだけ言って、急になにかを悟ったように黙ってコーヒー飲んでるオジサマを見ていたら、どうも気が重くなってしまった。<あぁ、この人は、自分と同じ年でずっと活躍を見てきたであろう藤田まことの死を知って、誰かにちょっと話したかったんだろうな。「驚いた」ことを共有したかったんだろうな。ついでに軽く思い出話くらいして、なんていうか、衝撃を和らげたかったんだろう。でも、その相手がいなくて、ファミレスでつい言葉に出しちゃったんだろうな。>的なことを、勝手に想像して。
いやもうそんな想像なんて、勝手な妄想に近いことはわかってるんだけど!
でも、なんつーか、その「日頃ちょっとしたことを話す」相手がいない故の困惑みたいなものは私も同じなので、妙な敏感センサーが感知してしまったのだ。んー(遠い目)。
そんな気分を引きずったまま、夜はこのWEBマガジン連載仲間のTHE B-TEAM実況野郎文芸部のたろちんに招かれ、座談会に出席。大した話はできなかったけど、人と話すことの有難さをかみ締めたのでありました。















