本コンペティションは、書籍の装幀に相応しいイラストレーションを募集するものです。
松 昭教(本誌アートディレクター)、平川 彰(幻冬舎デザイン室室長)、茅原秀行(本誌編集長)の3名による選考会が、2014年7月2日正午より幻冬舎本社内で開催され、入賞者が決定しました。 【→Vol.14の応募要項はこちら】

選評

イラストの方向性が乱れてきた! これまでラノベ系や、ちまたで流行っているイラストの応募が多いように感じていたのですが、ここにきて幅が広がり、面白い展開になりそうな予感がしています。装幀の仕事をするなかで、これからのイラストレーターの方向性がわかりづらくなってきて、模索段階かと思っていましたが、今回応募された作品にはその模索の跡が垣間見えるイラストが多かったです。とくに、しんやゆうこさんの大胆な面の使い方と素朴さと奥行きのある絵には、懐かしさとともに新鮮みもありました。長田結花さんは、 今の装幀で使われている作風なのですが、少しだけ先に行っているのかも? と思わせる構成力と画風ですね。ちょっとした違和感の多い作品が多くありましたが、そのなかでも私は、この二人の作品に強く惹かれました。次のコンペで大型新人が現れるのでは!?
(アートディレクター 松 昭教)

ずらり並んだ応募作品を一見しての感想。画力もそこそこあり、色使いも綺麗、構図も安定していて、万人に「上手な絵」だねと言われそうな、ソツなく無難にまとめている作品が多いこと。もちろんそれは職能として最低限備えているべき知識と技術なのだけれど、コンペという、他の応募者を相手にして如何に競り勝つかという特殊な場面においては、それだけではインパクトを残すのは難しいのです。「綺麗に描けているね」「この人、幼い頃から絵が好きだったんだね」「好きな世界を追及しているね」……。これだけでは終わらせない、見る側を納得させる何かが足りない。近年の応募作を見ていてつくづくそう思います。絵を"イラストレーション"に変貌させるには、自分だけの世界で完結するのではなく、殻を破って相手に問いかけることから始まると思います。今回の入賞者は絵を通して相手とコミュニケーションができると思われる人。三人の作品が次号以降の「PONTOON」を通して、何をどのように人々に訴えかけることができるのか、とても楽しみにしています。
(幻冬舎デザイン室 室長 平川 彰)

極めて私的な傾向ですが、最近、担当書籍のカバーに、写真やCGを用いることが多くなってきました。時間がなくて……じゃないですよ! 四六判のサイズは128ミリ×188ミリ、幻冬舎文庫なら100ミリ×151ミリですが、帯が巻かれてさらに狭まるこの小さなスペースで語るべき物語を魅力的に過不足なく表現するために、新しいキレを感じるイラストが見つけられないのかもしれません(単に私が勉強不足ということもありますが)。応募された作品を拝見しながら、どれも大変巧いと感心するものの、余韻というか広がりというか、声を発していたり、時間を感じさせるものはほとんど無く残念です。演劇でいえば、「声じゃない、肩で泣くんだ!」という感じなんですが(そんなこと言わない?)。そんななか、今回の大賞受賞作品には拍手です。次回も楽しみにしています。 
(PONTOON編集長 茅原秀行)



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